産地:イスファハン
素材:ウール
大きさ:150×220(cm)
価格:7,000,000円
この絨毯は売却可能です。
これは、ザ・ペルシャ絨毯とも言える王道的な色合い・デザインの素晴らしい絨毯です。
デザインだけでなく、作りも申し分のない第一級品です(両脇の房もとてもきれい)。
ペルシャ絨毯屋にもいろいろありますが、我が家ではペルシャ絨毯が一点物である点を強く意識しています。
デザインや作りこみの細かさなどを総合的にみて、自分たちの審美感に沿って値付けしています。
したがって、そのもの現物がすべてで、工房だとか産地だとかはあまり気にしません。
しかし、そうはいっても、特別な工房はあります。
その一つがセーラフィアン工房。
着物で言うところの龍村という例えが適切かどうかはさておき、ペルシャ絨毯屋でもちょっとおそれ多いと感じてしまうようなトップ工房です。
現地の展示会などに行くとメインとして飾ってあったりする絨毯で、業者間の卸売価格で、最低でも数十万ドルはするような絨毯です。
そうであるからこそ、ペルシャ絨毯屋ならいつかは取り扱ってみたい絨毯でもあります。
そんなセーラフィアン工房の共同オーナー(親族)の一人が子息を伴って日本に観光に来ました。
その時に、日本を案内したイラン人のペルシャ絨毯屋さんと父が親しかったこともあり、父も呼ばれてディナーを共にしたそうです。
もちろん、友人の招待を受けて観光に来ただけですから、その時に商談は一切なく、歓談しただけ。
そんな状況ながら、会話の中で何気なく発せられた、「まだいくつもペルシャ絨毯屋を訪問してないけど、今のところのうちの絨毯は見てないね」という言葉が父は忘れられないようです。
うちの絨毯、というより、うちクラスの絨毯という意味なんでしょう。
そんな経緯もあり、セーラフィアン工房の絨毯は我が家の悲願でした。
それから数年を経て、ついに、父が、セーラフィアンの絨毯が(そこそこの価格で)手に入ったと言って我が家にやって来たのがこの絨毯。
これぞペルシャ絨毯という王道的なデザインながら、非常に繊細な作りで、ペルシャ絨毯屋なら一目でわかる、いわゆる「本物」です。
悲願のセーラフィアンが手に入ったということで家族でお祝い。
とはいえ、気になる点が一点あります。
セーラフィアン工房の絨毯というのは必ず絨毯にセーラフィアン工房製であることが織り込んであります。
しかし、この絨毯にはどこにもセーラフィアン製とは織り込んでありません。
とうことは・・・・、お察しの通りです。
父もそこはよくわかっていて、セーラフィアン製と言われて買ってきたわけではなく、もしかしたらセーラフィアンかもと思えるような品質の絨毯が手に入ってうれしいというだけのようです。
とはいえこの絨毯。
中心のメダリオンから始まって端に至るまで、非常に繊細な意匠で埋め尽くされています。
デザインというのはトータルで判断されるものであって、あまり枝葉の細かさにこだわっても仕方がないのですが、そうはいっても単色のスペースが広い絨毯というのはそれだけ手間がかからず、簡単な絨毯ということになります。
その一方で、緻密なデザインはやはり手間がかかる。
ペルシャ絨毯の価値の本質は手織りにありますから、作るのが簡単な絨毯はそれなりの値段の反面、手の込んだ絨毯は高価なものとなります。
その点、この絨毯は、所狭しと緻密な絵柄が並んでおり、非常に手の込んだ作りをしています。
しかし、よく見ると細かいものの、ごちゃごちゃした感じはみじんもなく、全体として統一感のあるデザインになっています。
大きな絨毯になると一人ではなく複数の織り手が並んで何年もかけて作ります。
デザインを細かくして、ち密にするだけなら、単に時間をかけるだけ。
しかし、この絨毯は全体的な統一感がしっかりと出されています。
メダリオンを囲むように、くるくる回る線が描かれてありますが、その曲線は自然なカーブでゆがみがありません。
これだけ細かい意匠を所狭しとちりばめながらも、大きな曲線がゆがまずに綺麗なカーブを左右対称に描くのは、非常に高度な技術が必要であり、これだけの絨毯、並みの工房に作れる絨毯ではありません。
綺麗な絨毯というのはたくさんあり、綺麗な絨毯こそがいい絨毯と言えます。
デザインというのは、どれだけ手をかけたかではなく、出来上がりの美しさを競うものです。
しかし、ペルシャ絨毯というのは手織り絨毯であり、何年もかけて一つのものを作っていくには、それだけの技術が要求されます。
その技術的な部分に目を向けたときに、この絨毯は相当高度な技術で作られた絨毯です。
私は、父の目より、セーラフィアン製という織り込みの有無を信頼するので、工房は不明ということになりますが、もしかしたらセーラフィアンかもしれません。