産地:カシャーン
素材:ウール
大きさ:300×400(cm)
この絨毯は売却済みとなりました(2017年9月)。
私的には、この絨毯は忘れられないものです。
この絨毯はある意味、日本のペルシャ絨毯業界の一面が垣間見えます。
父がこの絨毯を入手したのが日本国内というのが非常に面白いです。とあるペルシャ絨毯屋さんの倉庫の隅に泥まみれで積んであったものを見つけたらしいです。
もともと生家が織物業で幼少から家業を手伝っていた父は、ペルシャ絨毯云々は抜きにして、織物とか染色とかに詳しい。その知識があったおかげで、泥まみれながら触った感じでこの絨毯は良い絨毯なんじゃないかと思ったとのこと。
もちろん詳細は全然わからないものの、徹底的にクリーニングしたり、補修したりして、きれいに仕上げました。
その過程で、この絨毯には『モハマディ家の曙』と織り込まれていることが分ります。
もっとも、モハマディ家なる家は、特に名門とかそういうわけではありません。ただ、『モハマディ家の曙』という名前からは、当時隆盛を誇った一族が、今後の一族の繫栄などを祈って作らせた絨毯なんだろうなとわかります。
となると、可能性として著名な絨毯を模写したものである可能性が高い。
結論としては、イギリスのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A博物館)に保存されているアルデビルカーペットの模写であることが分かります。
Wikipediaから転載
この絨毯はWikipediaに解説ページがあるような世界の至宝です。
十年くらい前に、イギリスのV&A博物館のイスラム館が改修になり、その展示品の一部が世界を行脚することになりました。
日本では世田谷美術館で展示されることになったのですが、展示会に伴い、出口付近でペルシャ絨毯の展示販売会も同時に企画されました。そして、どの業者にやらせるかという話になったらしいです。
サウジアラビアの王族のジャミールさんという、プライベートジェットにボーイングの747を使ういかにもアラブの王族っぽい人がV&A博物館改修のスポンサーだったのですが、父のホームページに載せてあったこの絨毯の写真を見て、日本にも多少はペルシャ絨毯のことが分かっている奴がいるじゃないかということで、我が家がその展示販売会を行うことになりました。
その時の様子
まあ、これだけだと私の思い出としては展示会の手伝いくらいで、父の思い出というより自慢話に近い。
では、私にとってのこの絨毯の思い出は何か。
それは、泥まみれのこの絨毯の改修費用が相当かさんだせいか、最終工程は小学生の私が担当した(させられた)から。
フリンジ(両端の白いふさふさの縦糸)を結んだのは私です。
この絨毯はオリエンタル感漂う何とも言えない優雅な絨毯です。
フリンジは今もしっかりと結ばれています。