産地:イスファハン
素材:ウール
大きさ:211×320(cm)
価格:お問い合わせください。
この絨毯は売却可能です。
この絨毯は綺麗です。本物のペルシャ絨毯です。真贋の話ではなく、これぞイスファハン産のペルシャ絨毯と呼ぶにふさわしい絨毯です。
ガファリアンという今はなき超名門工房の作です。
時々、ペルシャ絨毯は古くなるにつれて価値が上がるという投機詐欺のような話をする人もいますが、決してそんなことはありません。
時間が経つにつれ、染料が色落ちして落ち着きが出てくるとともに、ウールの遊び毛が抜けてシャープになって、独特の風合いになります。
そして、80年くらい後のそういった状態を見越してデザインされているものが本当のペルシャ絨毯です。
そうならなければ、イランで作られたのであればペルシャ絨毯と読んでも問題はないでしょうが、価値的には時間が経って色落ちした絨毯というだけです。
そういう意味で、この絨毯は見事に成熟することで美しくなった絨毯です。
美しい青が特徴という言い方をしても良いのですし、実際そうなのですが、あくまで絨毯ですから個別の色の綺麗さで価値は決まりません。
「水に浮くアラベスク模様」という言い方をします。
この絨毯は青が落ちついて、周りの深い赤と相まって、真ん中のアラベスク模様が、まさに水に浮いているかのようにきれいに見えます。
本当にきれいなペルシャ絨毯です。
この絨毯の思い出はスイスまで行きます。
数十年前、家族で観光も兼ねてペルシャ絨毯の仕入れ旅行でスイスに行きました。
なぜスイスかというと、ヨーロッパの貴族相手にペルシャ絨毯を売るようなレベルのペルシャ絨毯屋はヨーロッパを拠点としていることが多いからです。
スイス在住のM氏は、ユダヤ人のペルシャ絨毯商人で、我が家のような零細ペルシャ絨毯屋とはレベルが違います。
大間でとれたマグロの良いものが全部築地に行ってしまうのと同じように、当然良いペルシャ絨毯も、もれなくこういった大富豪御用達の大物絨毯商人のところに行きます。
広大なスイスの保税倉庫に見たことないくらい大量のペルシャ絨毯が積んでありました(私はそこで走り回って遊んでいました)。
そんな人に何で日本の零細ペルシャ絨毯屋が会ってもらえたかというと、当時日本はバブルの真っ最中で日本人の金持ちっぷりが世界を席巻していたからです。
クムのシルクの絨毯というのは、80年代にイランの指導者のホメイニ師が、自身が学生時代を過ごした聖都クムの振興を図って、シルクの絨毯を作らせ始めたのが発端ですが、完全に日本市場用に始めた産業といっても過言ではないです。
それくらい、当時は世界の美術商業界で、日本人の名前は轟いていました。
そんなM氏が、ペルシャ絨毯屋ならこれくらいの絨毯は持っておいた方が良いんじゃないの?と軽く振ってきたのがこの絨毯らしいです。
素人でも実物をみれば高いだろうなと思うような絨毯です。
父ががんばって、ひるまずに即買いしたので、私たち家族はホテルの高級レストランの食事に招待されました。
そこで、何食べたいのと聞かれたのですが、我々一家は価格交渉以外、英語は話せません。
フィシュが食べたいと言ったのですが、何の魚?、ボイル?グリル?と細かく聞かれても、よくわからず。
一家でまごまごしてたら、M氏は支配人に何かを指示、するとウェイターが移動式ワゴンに大量の魚を載せて持ってきました。
周りのお客さん達が目を点にして見守る中、どの魚のどの部位をどう食べたいのか好きに言えと。
子供ながらにあの光景は忘れません。
そんな魚の思い出と共に我が家にやってきた青い絨毯です。